久し振りと言うか十数年振りの雪山で谷川岳に行って来た。まさか雪山に登ることはないと思っていたので、しまい込んだ装備が果たして使えるか心配した。ウエアーはスキーで使っていたので充分、ワカンとアイゼンは問題がなかったが、プラブーツが最大の問題だった。ごまかして何とかなりそうだったので、ドタキャンすることなく決心した。
H竜さんの車で川越からピックアップしてもらい、関越道から土合駅に向かう。水上温泉辺りから雪交じりの天気、予想通り明日の天気は悪そうだ。予定よりも早くに土合駅の仮眠所室に着いて、早くも入山祝いの酒盛りです。O宮労山の雪山は夜の宴会から始まる。その内後続の車が到着し、U田さんのライフワークの燻製作りの逸品、今宵は鴨肉とサケの燻製が酒の肴、珍味のツマミにお酒がすすみ、大いに盛り上がった。
翌朝5時半起床、薄暗い空はやがて雲が切れて来て予想外の天気だ。やはり14人の大パーティーそこそこもたついて、天神平のロープウェーに乗る時間も予定より遅れた。しかしそこは晴天の白銀の世界、スキーヤーよりも多いくらいの登山者がゲレンデの脇のルートに幾重ものトレースを着けて登っている。
8時過ぎにスタート、白銀の世界に足を踏み入れた。4班に分かれた編成で一番歩けないと?判断された最後尾で歩く。寒さを覚悟して厚着してきたが、天神山にたどり着く頃にはうっすらと汗をかく位暖かった。小ピークからはしっかり雪化粧した谷川の双耳峰トマノ耳が鎮座して、西に万太郎山、仙ノ倉山に連なる稜線がくっきりと浮かぶ上がる。
ここでワカンを装着し一旦下り、尾根の東側をトラバースする、U田さんに「ピッケルを持つのは山側の手に」のアドバイスをもらう、そう、雪山は全くの初心者同様なのだ。やがて小1時間もすると熊穴沢避難小屋に到着、小休止してトイレタイム。その後にも続々と登山者がやって来て大賑わいの天神尾根だ。
本格的な登りの前にリーダーのHさんからワカンからアイゼン装着の指示。十数年前に購入したアイゼンはまずは装着の仕方すらおぼろげで良く判らない。しかも革製のベルト、正しい結び方もわからず適当に締めて出発。目の前の頂上までは結構な登りだ。12時がタイムアウトの時間なので、頂上が踏めるか難しいところ。
古いアイゼンだがしっかりフィットして雪稜を踏みしめて高度を上げる、もうこの頃になると先の1班2班の姿は遥か彼方、先頭を歩く2か月前に足を骨折したTさんのリハビリのペースが、山歩きの出来ないフリークライマーの私にはぴったりのペース配分、息も上がらず何とか付いていけた。
途中からトップ交代で前を歩く、1時間ほどで頂上に到着できるかな?との素人の判断もむなしく時間が経過して、ついに大岩で待っていたIさんと合流して時間切れ。やはり雪山は甘くない、頂上までは1間ほどかかると言う。ここで暫く昼食タイムにして、先行パーティーが降りてくるのを待った。
暖かいさ湯を戴いてほっとする、頂上への稜線は登山者であふれ後続も続いている。人気のコースなのだな〜と思いながら、西側の連嶺にしばし見とれる、全て銀世界に覆われた果てしない雪の世界、青い空と純白の山々、冬山に魅せられる理由が何となくわかる様な気がした。
やがて先頭のパーティーが頂上を踏んで下山し合流、下りも最後尾で下山開始。今日は終始雲のない天気。こんな谷川岳は珍しいと言う。雪山はやはりお天気次第、今日の様な晴天ばかりではない、いや、むしろ曇りや吹雪の方が多いのだろう。お天気に感謝して、一気にロープウェイにたどり着いた。久し振りの雪山を堪能し充実した山行だった。総リーダーのH竜さんに感謝です。